勧 酒        晩唐  于武陵うぶりょう
          さけすす
勧君金屈巵   きみすす金屈巵きんくつし
満酌不須辞   満酌まんしゃくするをもちいず
花発多風雨   花発はなひらけけば風雨ふううおお
人生足別離   人生じんせい別離べつり

五言絶句(上平声支韻)

さあ、さしあげよう、この金色に輝く大杯を。
なみなみとついだこの酒、遠慮することなく
飲み干したまえ。
花が咲けば、雨風も多いもの。
人の世も、楽しみのあとにはつねに別れが待
っている。

※ 金屈巵  黄金の大杯。まがった把手がつ
  いているので「屈巵」という。
※ 須  〜するに及ばない。
※ 足  多いの意。